「明日は雨が降るかなあ」
そんな風に言う彼女を見て僕は「天気なんてどうだっていいじゃないか、そんなこと」と言った。
本当に明日の天気はどうでもいい。何せ、僕が転勤してから彼女とは一年も音沙汰が無かったのだ。
遠距離恋愛は成就の可能性が低いからやめろとは言われていたけど、まさか自分がそうなるとは当時は露ほども思ってもなかった。
「なんで連絡してくれなかったんだ」
理由はもうわかりきっているのに、そう言葉を紡ぐ自分が情けない。
「でも最近暑くてたまらないから、ラッキーかな」
しかし、彼女は変わらず天気の話をしている。
きっと彼女も、あの言葉を言うのを惜しんでいるのだろう。
雨でも雪でもなんでもいい、泳がせないでくれ。
恋の終わり、明日は雨。
6/1/2023, 3:30:50 AM