朝、教室に入ったら友達が泣いていた。
早かったからか周りに誰も居なくて、この場所だけ時が止まったかのように思える。私は横開きのドアの側から動けなかった。
友達は私を一瞥してから涙を拭いて、いつもの様に笑う。誤魔化せないくらい赤く腫れた目元が彼女の悲しみの深さを物語っている。私は何も言えなかった。
何でもないように「おはよう」と言われたので、私も同じように返した。そんな時もあると言う自分と、どうして何も言ってくれないんだろうと言う自分がいた。理由も何もわからない。いつだって不透明なくせにお互い見透かしたような会話をしていた。
私達の友情は紙切れのようなものだった。
私はその時初めて、友達が笑顔を取り繕っていた事を知った。
#何でもないフリ
12/11/2022, 10:16:47 AM