柳絮

Open App

あじさい


雨音が部屋中を満たしている。
義息子は机に向かって手を動かしていた。沈黙が気まずい。
「彼方くん、夕飯何食べたい?」
さり気なく声をかけてみる。が、返事はなかった。心が折れそうだ。再婚して7か月。懐くどころか会話も不可能とは。
「できた」
彼はリビングを出て行った。完全無視。
「……うわ」
机には折り紙の紫陽花が咲いていた。
画用紙とのりを持って彼が戻ってきた。
「えっと、好きなものでいいよ。お義母さんの」
「!」


※あじさいの花言葉……家族、団欒


6/13/2023, 11:22:01 AM