053【秋🍁】2022.09.26
夜の家事が一段落してスマホをみたら、田舎の父からLINEがきていた。開いてみたら、実家の庭の萩の写真で、ただひとこと、「秋🍁」とだけ添えられていた。
無口な父らしいな、と、つい、口もとがほころんでしまった。
大学に進学してはじめて都会に出て、いちばんとまどったのは、毎日あたりまえのように庭先で接していた野草が、どこにも姿がなかったことだ。今の季節なら、吾亦紅に蓼、はびこると厄介者だけど花の色は鮮やかな葛、それに萩、といったところか。秋の色、といえば、暖色系を中心に、いろいろ連想されることだろうけど、私は秋といえば、これらの花の色。つまり、赤紫色。しかし、都会で秋の赤紫を探すのは、なかなか至難のことで、これらの花々に出会うためには、わざわざ出かけるか、お金を出して買うかせねばならない、というのには驚愕した。
帰省した折に、どこにも秋の色がなくてつまらない、とぼやいていたのを、父は覚えてくれていた。それ以降、毎秋ごとに、萩やらなにやら、野草の写真を撮っては送ってきてくれる。
しかし、気になるのは……母が送ってくれた父の写真が、去年よりも老け込んだように見えることだ。
Uターンするなら、今かもしれない。
9/26/2022, 12:33:36 PM