🔸ねぇ、「大切なもの」って何?
🔹何だって?もの?物質的な話?
窓の外では、桜が穏やかな春の風に揺れているのが見えた。花びらが手元に落ちる。
🔸んーん、もっと広い概念‥かな?
🔹相変わらず話が突然だね。君は。
でも、そうだね、思い出とかかな。
人が人足り得るために必要な要素だと僕は思うのだけど。
🔸ふふ。私はなんだかんだ言いながら真剣に答えくれる君の性格を気に入ってるんだよ。
🔹それは何よりだ。
春の風が彼女の髪を揺らした。
僕は案外この時間を気に入ってるのかもしれない。
意味があるような、ないような、日常の一部。
🔹そういう君こそ、大切なものはないのか?
🔸あるよ。ありすぎて選べないくらい。
いつかは選ばないといけない時が来るんだろうね。
全てを大切に出来るほど強くは無いし、だからこそ、その事実に対して自覚的でありたい。それに、優先順位を作るようにしている。‥‥人生は有限なんだよ。
抽象的な話になっちゃったね笑。忘れてくれる?
🔹‥‥勿論。
僕は視線を彼女から窓の外に向けた。
たまに、彼女はこんな風にいつもと違う様子を見せる。何処か遠くを見るような。僕には届かない所にいるような。彼女のそれを理解できないことを悔しく思うし、同時にそれで当然だとも思う。
季節が巡って、次の桜が咲く頃には少しは理解出来るようになるのだろうか。
少なくとも、こうして次も春も隣で話せる関係であれと願っている。春は出会いの季節であると共に、別れの季節なのだから。
4/2/2026, 8:41:15 PM