エリンギ

Open App

【夜空を駆ける】

魔法少女をご存知だろうか?
幼児向けアニメや漫画の題材としても扱われる、あれである。
しかし現実には、魔法少女は存在しない。
存在するのは、魔法“青年”である。

太陽はとっくに沈み、月が空のてっぺんに居座る頃。
俺はいつものように、2階の自室の窓を開け放った。
冬の夜は冷える。冷たい北風がカーテンを揺らし、思わず身震いをした。
ポケットから使い込まれたパクトを取り出す。子供用のおもちゃにしか見えないが、本物である。開くと瞬く間に光が溢れ出し、俺の体を包みこんだ。
スウェットは輝かしい衣装になり、黒髪は青く変わっている。ご丁寧に髪飾りまで付いているが、この姿を見る人は限られている。妹に見せたら喜ぶかもしれないが、そんなことしたら俺の命が無い。
窓枠に手をかけ、一気に飛び出す。乗り出した体は綺麗に宙を舞い、俺は屋根を蹴って上昇した。
「おはよう」
見上げると、相方が手を振っていた。濃紺の空に映える桃色の髪は、もちろん地毛では無い。
「今日も任務遂行しますか」
気合いを入れるため深呼吸し、ステッキを手に取る。
2人の影が、夜空を駆ける。

fin

さて、何故少女ではなく青年なのか?
それは単なるエリンギの好みである(((

2/21/2025, 11:00:40 AM