いつの間にか迷い込んだ
真っ暗闇の峠道
曇っている様で真っ黒の木々と真っ黒の空の境目がわからない
ハイビームの映し出す明る目な真っ黒い木々と路面、そしてインストゥルメントパネルの光とそれを反射するウインドーガラスだけの世界で、いつもよりけたたましいエキゾーストノートに思考を掻き消され、延々と登り続けていたはずのワインディングロードはいつの間にか更に暗黒化を増す下り坂
もうこの闇からは絶対に抜け出せないのでは無いのか?
このままこの道は地獄の底へと・・・・
それ以外の選択肢を持たぬ一本道
怖い、心の底から震え上がる思い
どこかUターン出来る場所で引き返そう
・・・そんな気持ちと裏腹にスピードはドンドン増していく! 怖い怖い!
タイヤのスキール音が止まらない!
何度もスピンしかけては反射的にカウンターステアを当てて立て直す、俺はいつの間にこんなドライビングスキルを身に付けたのだろう? いや、そんなに俺の運転が上手い筈はない!
やはり地獄へと導かれているからだ!
・・・・・・すると突然!暗黒の視界が開けた
いよいよ地獄の入口か?
・・・・いや、違う、
宝石の輝きの如く美しい
街の明かり だ!
俺は ほっとするのと同時に
何故か、恐ろしく落胆した
勾配もなだらかに、道幅も広がり
自然とアクセルを踏む足の力も抜けた
・・・・・・・・
だけどこの失意は何だろう?
何故 俺はこんなにガッカリしているのだろう?
いつの間にか 街の明かりを薄めながら
空が白んできていた。
7/8/2024, 10:37:08 PM