NoName

Open App

「泣かないで」

いつもの浜辺で彼女を待っていた、しばらくすると足跡だけがやって来た。

「こんばんはエウレナ」「こんばんはマシューさん」
僕が話すエウレナは透明人間だ、浜辺で歌う彼女があまりに魅力的で2週間くらい前から仲良くなっていた
「今日は歌えそうかい」「はい、ある程度は
」「それは良かった、できれば聞かせてくれないか」僕はギターを取り出して彼女の歌に合わせる
僕の注文以上の歌を彼女は歌ってくれた
「どうですか」「素晴らしいよ、最後のサビの転調が素晴らしいよ」「ありがとうございます」

しばらく音楽の話しで彼女と話した、音楽の話しをするとき彼女はいつもより、ハツラツとしていた

「そういえばエウレナはなんで透明人間なんだ、治らないのか」「今更ですね」「歌に夢中で聞くのを忘れていたんだ、元の姿には戻らないのかい」「はい、透明になって5年くらいになります」「5年か、すごいね」
それから、話そうとした彼女は泣き出してしまった
「ごめんなさい」「ああ、ごめんよ悪いことを聞いたね、どうか泣かないでくれ」「ありがとうございますマシューさん」

「今日はこのくらいにしようか」「はいまた今度会いましょう」「今度はいつ会えるかな?」「次の日曜日なら」「なら日曜日にここで会おう」「はい」
「さようならエウレナ」「さようならマシューさん」


立ち去ると浜辺に足跡だけが残る。

12/1/2022, 3:49:30 AM