「手放す勇気」 #4
とても好きな、大切なものがあるとしよう。
ともすれば、それが己にとっての基準となる程の。
たとえそれが間違っていたとしても、世界の方が間違っているのだと錯覚する程の。
私は、それを持ってしまったようだった。
周りに話せば、返ってくるのは否定だけ。
「同性なんだから」「どうせ本気じゃないんでしょ?」「なんの冗談?」「歪んでるよ」「何それ」
手放すべきだと、手放さなくてはならないと分かっていた。
けれど、そんな勇気はないのだ。きっと捨ててしまったら私は私ではなくなるのだから。
そして、その必要もなくなった。仲間が、同じ人がいたから。私を、否定しなかったから。
私は、同性への恋情を持ってしまったようだった。
そして、手放さない覚悟を手に入れたようだった。
5/16/2025, 1:04:35 PM