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どうせ死ぬなら、花束を持って死にたいから。
彼女はそう言って屋上で微笑んだ。
マズい。と思って全力で走り出す。
彼女の華奢な体がふわりと浮いた。彼女の細い腕を掴もうとした手が宙で空振る。
花の香りとともに、死の香りがした。
白い…ゼラニウムの花。
花言葉は「偽り」。
すべて気付かれていたのだろうか。

3/16/2025, 1:15:23 PM