◇ 時計の針 ◇ より
カチッ…、カチッ…、カチッ…ー。
ふたりの沈黙を埋めるのは
秒針の音。
…
……。
ゴーン、ゴーン、ゴーン。
「あなた…いつまでそうしてるの?
もうお昼休みは終わったらしいわよ?」
憂鬱を含む瞳とは裏腹に、
彼女の繊細な睫毛が気だるげに上がり、
ちらりと前方の寝ている青年の姿が目に映される。
「まあ、私には関係ないのだから、
どうでもいいのだけど…。」
彼女は当たり前にすっと読書に戻る。
…
……。
アレキサンドライトが
情熱的な赤に色を変える頃。
ほとんどの生徒も帰宅を急ぐでしょうね。
あくびをひとつ落とし、
やっと顔をあげてふぅと伸びをする。
…、
いつもと違う景色が目に映る。
……。
「まだいるの?はぁ…。
あなたは寝坊助ね。
さすがに可愛そうだからこれだけはしてあげるわ。」
読み終わった本を閉じ、。
ふわっくるっと指先を動かす。
彼女の膝元にひとつのブランケットが
< ポフッ >と現れた。
わずかに透ける身体で
スッーと青年のもとに近づく。
サッと青年にブランケットを掛け、
新しい読書を速やかに開始する。
その刹那、
彼女の手が青年をすり抜けたのは誰も気づかないでしょう。
これは決して交わることのない
ふたりが 「ミ」えない 新しい親交を深めていくお話。
2/6/2026, 11:12:21 AM