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初恋
好きな人がいた。
みんな彼女を身近な存在だと思っていた。私も例外ではなかった。高嶺の花などではない、いつもそばにいてくれるような存在だった。
いつも、一緒に帰っていた。彼女はおそらく私を友達だとおもっているのだろう。そう考えると心に小さな棘が刺さった。
不思議だった。今まで人を好きになるという感覚を知らなかった私が唯一恋をした人物だった。
ある日の放課後。呼び出しされた。もう慣れたことだ。十分ほど指導を受け帰ろうとしていた。靴箱に彼女がいた。優しく全てを包み込むような目をしていた。
私がさよならと軽く言った。彼女はどこかぎこちない表情だった。私は急いで帰ろうとした。
その時だった。彼女に呼び止められたのだった。
緊張で彼女が何と言っていたか詳しくは覚えていないが告白をされた。奇妙な焦燥と戸惑いで何を行ったらいいかわからなかった。心の中にあるものが全てなぎ倒されるような気分だった。何を言ったらいいかわからなく困惑していた私はただ彼女を見つめていた。彼女は嬉しさと恥ずかしさが混ざったような表情で走り去っていった。
その日寝ることができなかったことを覚えている。あっという間に噂は広がり収集がつき始めたころに彼女はまるで弾けるかのように何処かへ行った。転校だった。私は何も感じなかった。いや正しくは何も感じれなかった。ただただ頭が痛かった。記憶が心のそこから少しずつこみ上げてきた。
虚しかった。
ただただ虚しかった。

実体験だお

2/11/2024, 7:53:09 AM