旅鴉

Open App

#記憶

天気がいい。
電車の窓の隙間から、やわらかい風が頬を撫でる。
こんな日は よく行くあてもなく遠くへ足を運んでは、気ままに趣味の写真を収めている。

ぼんやりと窓の外を眺めていると、遠くに小さく鳥居がのぞいた。
「、?」

ふと既視感をおぼえる。
なにかが引っかかった。
──僕は、あの神社で…、


衝動に近いものに駆られ、気づけば電車を降りていた。
ホームを出て見渡すとそこは、来たこともない小さな町だった。

しかし、歩いても歩いても鳥居は見当たらない。
通りかかった人に聞いてみてもマップを調べてみても、この地に神社は存在しない。

僕はあの時、何を思い出そうとした?

3/25/2025, 1:37:11 PM