私、もうすぐ死ぬみたいです。病が早く進行してるだとかなんだとか。最初から助からない命だった。いつ尽きても、もう望みも何も無いからどうでもよかった。
病に侵されて、動けなくなって。自由は無くなった。いや、最初から自由など無かった。小さい頃、ここに売られて、病に侵されただけの人生だった。
「貴方には生きて欲しい。」
なんて言葉をくれた人も数え切れないほどいた。だけど、その言葉は私の心の穴を塞ぐことなど出来なかった。
「お沙耶さん。具合は?」
いつの間にか隣りに座る女が言う。なんとか首を小さく振った。そうすると、女は悲しい顔をした。
「ねぇ、もしも病が治ったら、なにをしたいですか?」
考えたことのなかったような問いだった。静かに目を閉じる。
空を飛びたい。ほら、あの鳥のように。
何度も繰り返していた言葉を思い出す。涙が一筋頬を伝う。
「自由、に、なりたい」
そう一言呟き、暗い意識の中に飛び込んだ。
8/21/2024, 12:49:08 PM