名無し

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私は劣等生だ。優等生なあの子とは比べ物にならない。不登校気味で成績も最悪で、運動神経も悪い私。成績が良く、学年一位は当たり前、運動神経も抜群なあの子。でもあの子は、
「久しぶり、ノート見る?」
私に今日も話しかける。全てを持っているくせに、全てを手に入れたくせに。
何も持っていないやつを嘲笑ってるんだろ?
私は知っている。あの子だってどうせ、そういう奴だってことを。私だって欲しかった。その才能が。何をやっても出来損ないな私とは違う才能が。なんで、同じ人間なのに、私だけが。私達劣等生はどうせそういう運命なのだろう。家にも、学校にも、どこにも居場所はない。それが私たちの運命なのだろう。
「今日一緒に帰らない?」
ある冬、そう言われた。
歩道橋を歩く。歩道橋の階段を降りていくあの子の背中をみて、ふと思った。
トンッ
グシャッ
静かな薄暗い世界に音が響く。

「可哀想に。」「将来有望だったのに。」「残念。」「いい子なのに。」「なんであの子が。」

良かったね。君の話題で持ち切りだよ。
私はぼやけた視界の隅でそう思った。
あの子にも裏があるに決まってる。


テーマ【欲望】3/1 #3

3/1/2024, 1:47:12 PM