Regina

Open App

【ありがとう、ごめんね】

午前3時。君の様子が変だと聞かされる。
まだ眠いけど、私は夢の続きよりも君を優先する。
急いで、君が入院している病院へと向かう。

病棟に入り、君を探す。
しばらく探すと、眠っている君を見つけた。
「来たよ…」
周りには君のことを知っている人が集まってくれていた。
慌てて、私は君のやつれた手を握る。
その手はとても温かかった。

数日後、目を覚ました君は私にこう語りかけた。
「今まで一緒にいてくれて、ありがとう…でもごめんね。僕…」
途端に、君の目から涙が落ちる。
もう私の前では泣かないって約束したはずなのに。
「僕…君とはもうさよならなんだよ…」
その言葉を前に、私は胸が潰されたかのようにかがみこんでしまった。そして…私まで、泣いてしまった。

2人泣いた一晩が明けると、君はこの世を去っていた。
遺言も聞くことが出来ずに…君の死を許してしまった。
ショックを受けた私は、病院の中であることにもかかわらず、独り声をあげて泣いた。

君の葬式が終わると、私は君の遺書を見つけた。
そこにはこう書いてあった。
『君は誰よりも僕のことを愛してくれた。それは素直に嬉しかった。でも君には謝りたい。僕の余命がわずかだってことをずっと隠してたことを。本当にすまない。』
その言葉を見て、私は「ううん、ううん」と首を振り続ける。

12/9/2022, 9:08:15 AM