【もっと知りたい】
あいにく私は視力が悪いので、眼鏡をかけている。
眼鏡をかけ続けるのは慣れているが鼻筋に痕が残るし、耳が痛くなるから、普段は外している。
(コンタクトは恐れ多く、手が出せていない)
眼鏡をかけたとき、私の世界は変わる。
川の濁り、その奥に潜む川底の土や砂利。
古びた街灯の廃れたガラス。
倉庫に積まれた、ホコリまみれの段ボール。
洋服のしわ、布に絡まる糸のほつれ。
外壁のコンクリートのシミ。
アスファルトに散らばった石の塊。
食いかけのタンポポのわたげ。
親の頬に刻まれた、ほうれい線。
裸眼で見えないものが、すみずみまでハッキリ見える。普段は、特に意識して見ないような箇所を気にしたり、新しい発見があったり、知らなかった景色に気づける。
(なので、視力が悪いことを後悔することも多い)
中には、あまり見たくはないものが見えてしまうこともあるが、それらを引っくるめた全てが私達の世界だ。
眼鏡のレンズを吹きながら、その先に見える様々な景色に想いをはせる。知らないものをもっと知りたいから。
今日も、私の代わりに映してくれないか。
3/12/2023, 11:38:36 AM