おと。

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「ねぇ、見て!今日めっちゃ晴れてるよ!」
........あれ?誰も返事してくれない。
どうして返事をしてくれないの?
どうして僕を見てくれないの?
昔みたいに僕を見てよ!!
...そもそも僕は誰に言っているの?
家族も友達もあまつさえ親族が誰一人いないのに..........はは、とんだ戯言だ。
「どうしたの?また一人になってるの?クス」
「五月蝿い」
「君に太陽の下は似合わないよ。君には月の下、いや、闇がお似合いだ」
「黙れ黙れ黙れ!!!僕は僕..は!」
「太陽の下を堂々と歩いて良いのはね彼らだけ。君には其の権利は何一つない」
「違う!彼奴等はちゃんと私を見た!太陽の下を歩いた良いようにしてくれた!」
「そんなの嘘だよ。今僕が目の前に現れた事でそれは消滅された。お前は明日から孤独だw」
「私の仲間はお前みたいにそんな事しない!」
「そうか、ならばこれからも精々苦しむんだな」

           ✾

「起きて下さい!東雲さん!!」
「んぇ?」
「全く、寝ないでくださいよ」
夢だったのか。其の割には現実味があったな。
「其れと、大丈夫でしたか?」
「どうして?」
「大分魘されているようでしたので夜桜さんに起こせと言われたんです。大丈夫ですか?」
「嗚呼、少し嫌な夢を見ただけだ。問題無い」
そうか、あの夢なら現実世界で魘されているのも仕方無いか。でも彼奴は何なんだ?
「東雲、大丈夫か?」
「嗚呼、平気だ」
「そうか?其の割に、顔が真っ青だが」
「なぁ、夜桜?」
「ん〜?」
「私は太陽の下を歩いていてもいい人間か?」
「どうした急に」
「私は本当に此処に居ていいの!太陽の下を、みんなの隣を歩いていていいの!僕なんかが此の世にいていいの!本当は闇に浸っていなければ駄目だよね!もう、わからない!どうすればいいの!どうすれば___」
「東雲!落ち着け!」
肩を勢いよく掴まれて我に返った。
夜桜の様子を見る限りそうとう取り乱してしまったようだ。
「悪い、忘れてくれ」
そう言って席を立ち自分の椅子に向かった。
「なぁ、東雲。俺はお前太陽の下を歩いて欲しい。誰に何を言われたかは知らないが、お前と一番長くいる俺が言うんだ。俺を信じろ。知らん奴の言葉なんかに惑わされるな。お前はそんな単純じゃ無いだろ」
「有難う、夜桜。太陽の下を歩ける自信がまたついた」
「それは良かった」

# 86

8/6/2023, 12:26:53 PM