届かぬ想い
こんにちは!わぁ、えがおがとてもすてきだね!よかったらぼくとともだちになろうよ!
めがあったきみはぼくをやさしくだきしめてくれた。これからよろしくねって、まるでおひさまみたいなきらきらなえがおでぼくをむかえてくれた。
おうちにかえってからたくさんあそんだね。さいしょはあそびかたがわからなくてきみがたくさんおしえてくれたっけ。おままごともおひめさまごっこもとってもたのしかった!ねるときにもいっしょだったね。これからまいにちあそぼうねっていってくれてすごくうれしかったよ。
小学校に入ってからは君のお友だちともよくあそんだね。ぼくは走れないから、おにごっこはできないよ。外でお友だちと、ふたりじゃできなかったあそびをして、君がたのしそうでちょっとさみしかった。でもね、たのしそうな君をみるのがいちばん好きだったよ。変わらないきらきらな笑顔がすてきだねって言えたら良かったな。
気が付けばもう中学生だね。背が伸びて立派なお姉さんだ。勉強が大変そうで遊ぶことが減っちゃったね。息抜きも大事だよ。疲れたらまた一緒に遊ぼう。ぼくはずっと待てるから。頑張って。応援してるよ。
久しぶりに君に抱きしめられた!でも、少し苦しいよ。……?ねえ、目から水が出てるよ。どうしてそんなに苦しそうな顔をしてるの?知らない名前を呼んでるね。彼氏って何?君は彼氏っていうのをつくれるんだね。でも、つくらなきゃよかったって思っちゃったんだね。ねえ、ぼくはここにいるよ。大丈夫だよ。……手は動かせないんだった。どうしたらまた笑ってくれるかな。また、君の笑顔が見たいよ。
最近、ずっと怒ってるね。どんってかばんを置いて、机とにらめっこしてるよね。あ、お母さんが呼んでるよ。ほら、ご飯だって。突然怖い顔で扉に大声を出す君。机を叩いて、それでもまだにらめっこは終わらないんだ。君を苦しめる『受験』ってやつ、大嫌い。ぼくがそれを倒せたらいいのにな。
思いきり階段を駆け上がる音がする。勢いよく開く扉。ぼくの名前を呼んで、手を掴んでくるくるダンスしてるみたいに回る。合格!合格したよ!嬉しそうに教えてくれる。そっか。君は自分で『受験』ってやつを倒したんだ。凄いなぁ。君はどんどん強くなるね。でも、やっぱり君の変わらない笑顔がぼくは大好きだよ。
部屋のものが少なくなっちゃった。君が描いた絵も取っちゃうんだね。ぼくを優しく抱きしめてゆっくり箱の中に入れていく君。ぼくとも、お別れかな。
あのね、ぼくね、君と一緒にいられてよかったよ。ずっと大切にしてくれて、たくさん遊んでくれて、きちんとお手入れしてくれてとっても嬉しかった。嬉しそうな君も悲しそうな君も怒ってる君も全部全部大切な君だった。ありがとう。ぼくと出会ってくれて。ありがとう。ぼくに愛をくれて。ありがとう。またね。
久しぶりの光。白くて眩しいな。また、君は大人になったんだね。隣の人はだあれ?とても優しそうな人だね。君が抱きかかえているその子は?出会ったときの君より小さいね。そっか。今度は君の赤ちゃんとお友達になれるんだね。こんにちは。……わぁ!笑顔が素敵だね。君にそっくり。ぼくと友達になろうね。これから、よろしく。
4/15/2023, 1:36:17 PM