NoName

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ふと目を閉じると、私の目の前には別世界が広がっていた。

いや見た目は普通の世界なのだが、誰もいない。私だけしかそこにいないのだ。

家から出て、通りを歩いてみる。車も歩行者もいないのに点滅している信号、シャッターの開いた商店街。

まるで私だけを残して、みんな遠くへ行ってしまったかのようだ。

もしかして、本当にみんな....。嫌な予感がした。

家に戻り、自分の寝ていたベッドを探す。そこには人工冬眠機の文字。

窓の外を見ると、赤い光を放つ大きな塊が空から降ってくるのが見えた。

それが私が数十年ぶりに見た世界の最後の姿となった。

6/27/2023, 3:00:20 PM