ヤギちゃん

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家から小学校までとても近かったので夏休みもよく学校に通ってた。
プールで友だちと遊ぶのも好きだったし、ひとり図書室で本を巡るのも好きだった。
こっそり三階の非常階段の鍵を開け、夜、友だちと肝試しに忍び込んだりもした、やっちゃダメなやつだけど。
家ではよくスイカが出てきた、近所の人がやたらスイカを提供してくれるせい。
父と庭で花火を楽しむのも好きだったし、ホタルを一緒に探しに行くのも好きだった、真っ暗な夜に出歩くワクワク感が夏の夜には有る。
家族でキャンプに行ったり夏祭りに行ったりもした、海水浴も好きだった、弟のアザラシの形をしたボートが沖に流されて浮かんでる所を遊覧船のスタッフに救出されていたのを今でも覚えている。
幼い頃の夏の思い出たちは太陽の眩しさと一緒でキラキラと輝いているものが多い。
大人になった今は夏の暑さに死にかけてる、暑い!という感想しか出てこなくなったし、エアコンが無いと生きていけない、暑さと戦うというより最初から勝負に負けてる瀕死の敗者。
あの眩しかった夏は蜃気楼か何かの幻影だったのかもしれない。
【夏】#13

6/28/2023, 8:45:03 PM