「お前は馬になって、馬車を引いてあの子をお城へ連れて行くのです」
そう言われた途端、目線が高くなって、体も足も全てが大きくなった。
後ろを向くと、あの子が馬車の中で微笑んでいる。
いつもみすぼらしい姿で、酷い仕打ちをされても我慢して毎日を耐えていたあの子。
今は美しいドレスを着て、髪も肌も綺麗になって、まるでお姫様みたいだ。
僕は走り出していた。
ずっと部屋の片隅で、ただ見守る事しかできなかった。あの子が泣いていても側に居る事しかできなかった小さなネズミだ。
でも今は違う。大きな馬になったんだ。
貴女のために僕は走るよ。
貴女のためにお城へ向かうよ。
僕の大切なお姫様。
どうか幸せになってください。
12/8/2022, 6:34:24 AM