これからもずっと隣で見てるよ
きみには聞こえないであろう声で呟いた
重くて痛くて辛くて苦しくて
でも抜け出せないんだろう
君の思考を読む力なんてないけどそれでもわかるよ
きっとそうだ
きみの表情はいつだって分かり易くて
その純粋な気持ちを伝えていたのだから
だからこそより深く傷ついた
ぼくの消えない傷口に一番沁みるひと言だった
きみの言葉はいつだって正しかった
正しすぎてとても痛かったんだ
きみだけは違うと思ったのに
淡い期待はいとも簡単に打ち砕かれた
澄んだきみの言葉は鋭い刃だった
きみには相手を傷つけるつもりなんてなかった
でも、受け取る側はそうとも限らなかった
ただ強く、裏切られたと感じた
普段どおり振る舞っていても実際は堪えていたのだろう
人を思いやるほどの余裕なんて疾うの昔に捨て去った
それどころではなかった、精一杯生きていたのだ
夢にまで見た友達という存在につい浮足立ってしまい、きみにフィルターをかけて見ていたぼくにも否はあったのだろう
勝手に期待する方が馬鹿なのだ
いつだって間違いだらけの人生だった
ここいらが潮時だった
それでも、ぼくだけの味方でいてほしかった
弱い人間には護ってくれるヒーローが必要なのだ
誰かにかばってほしかった、お前は悪くないと嘘でもいいから言ってほしかった
ぼくはただひたすら救いを求めていたのだ
誰でもいいから助けてほしかった
ぼくの報復は高が知れていた
君がくれた本をあいつは無理矢理奪おうとした
踊り場での攻防末に階段から突き落とした
抵抗しなければその立ち位置にはぼくがいたはずなので自業自得だろう
もっと酷い事を奴等からはされていたのだ
それでもきみはぼくを責めた
どんな相手でも人としてやってはいけないことをした
そんなものよりもっと大切なものがあるはずだと
ぼくがその宝をどれだけ心の支えにしていたのか知りもせずに
あの時感じた諦めと絶望を
きみは一生理解できないのだろう
最後にぼくの背中を押したのはきみだったんだから
きみ自身よくわかっているはずだ
この苦しみをきみに伝えるすべはないのだろう
だからきみに生涯抜けないようなとげを突き刺した
その痛みに悶え、苦しみ続けるがいい
「お前のせいだ」なんて見当違いも甚だしいけれど
仕方ないよな
赦してくれよ
きみが今度こそは間違えないように
ずっと見つめているから
ぼくを忘れないでくれ
3/13/2024, 5:21:13 PM