花灯

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既読がつかないメッセージ

「駅前にカフェできたんだって。一緒に行こうよ」
送信。
既読はつかない。
でも、君なら「いいね、行こ!」って笑って言うだろう。
俺はそんな返事を勝手に思い浮かべてにやけてしまう。

「会いたい」
思わず打った一文はすぐに消した。
弱音みたいで、君が心配する気がしたから。

「前行った遊園地また行きたいな。」
「今度は晴れた日に。」
送信。
やっぱり既読はつかない。

それにしても雨の音がうるさいなと耳を塞いだ。
雨の日は嫌いだ。

いや。嫌いになったの方が正しいだろうか。

あの日も雨が降っていた。
「雨の日も一緒なら悪くないよね」なんて、
君はずぶ濡れの服なんて気にもしてないように笑いなが言った。

「またねー!」
いつものように手を振った。

ただいつもとは違った。
返事がない。

その代わりに
ベシャッ
雨音の中に重く湿った音が響いた。
なんの音だろう。
その答えはすぐ後ろに。
残酷にもはっきりと。

そこにあるのは
雨で濡れていた服は真っ赤に染まり、もう人の形をしていない君だった。

「会いたい」
結局送ってしまった。
でも今回はちゃんと有言実行するよ。
「今から君の所へ行くよ。」
送信。

ベシャッ
また雨音の中に重く湿った音が響いた。

9/20/2025, 5:52:57 PM