(逃れられない呪縛)
重大なミスをした。
被検体に逃げられてしまったのだ。
所長が出掛けてる間に
手の力を少し弱めた瞬間
するりと
こんなことがバレたらタダじゃいられない。
処分される
〔や、辞めて、ください。す、すみませんでした。〕
[君が悪いんだよ〜ちゃんと見てないと ]
〔ど、ドアが開いてたことに気づかなくて…〕
[えぇ〜。言い訳は要らないよ。]
処分される同僚の声と所長の声が頭に響く
こうしちゃいられない
早く 早く 逃げなきゃ
荷物をまとめて
大きな袋に最低限の物を詰めた。
水溜まりを踏もうが、誰かにぶつかろうが
気にしない。そんなことより逃げることが大事だ。
出口が見えてきた。
〔もう少しで逃げれる…〕
そう思った瞬間手首に鎖がかけられた感覚がした。
『?!』
驚いて手首を見ると何も無かった。
『げ、幻覚?』
なぜ幻覚が見えたのかそう思った時ある考えが
浮かんだ。
『ま、まさか』
[君の薬も増やさないとね]
ある日の所長の言葉が頭に響く
『あぁそうか。もう私は逃げれない。あの所長から』
5/23/2023, 1:30:39 PM