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【心の健康】

いつもと同じ生活をしてた。いつもなら受け流せることなのに、何故かその時は受け流せなかった。
たぶん、いままでのものが積み重なっていたのだと思う。気づかなかった。
家に着き、玄関をあけた瞬間、自分でも訳が分からないくらいに涙が止まらなくなった。泣いて、泣き疲れて、服も着替えないまま、メイクも落とさないまま、寝てしまった。
朝になった。身体が動かない。仕事に行かなきゃいけないのに。迷惑をかけたくないのに。
横になったまま、スマホを握りしめ、20分が経っていた。身体を無理やり起こして、昨日のメイクを落とそうと鏡を見た。ひどい顔だった。このまま仕事行くのは難しい。そう判断して、会社に欠勤の電話をかけた。

「わかりました。ゆっくり休んでください。」
電話を切る。迷惑をかけたくない、と思っていたのに、簡単に仕事を休めたことに何故か心に引っかかりを感じた。…私が休んでも、仕事に影響しないんだ。いつもなら休めてラッキーくらいに思うのに。この時の私は、やはり何かがおかしかった。

気がつくと、お昼を過ぎていた。寝てたわけではない。何かをしていたわけではないのに、ソファに座ったまま、何時間も経っていた。どうしたらいいのか自分でもわからなくて、また涙が止まらなくなった。

部屋の明かりがついて、目が覚めた。あれからまた時間が過ぎ、外は暗くなっていた。
「どうした?なにかあった?」
彼が側に座り、私のこと抱きしめてくれた。自分でもどうしたのかわからない。泣きながらそう伝えると、「そっか」と呟き、更に強く抱きしめてくれた。
「…ハグするとストレスが少し軽減されるんだって。効果あるかわからないけど。でも少しでも安心できるなら。」

気持ちが少し落ち着いて、ゆっくり顔をあげる。気づいた彼は、優しく微笑み、頭を撫でてくれた。
「明日、俺も休みだから、仕事休む?そしたら明日も2人でゆっくり過ごそう」
そんな優しい提案に、私はまた泣きそうになる。

それから数日、仕事から帰ると涙が止まらなくなるという症状が続き、私は意を決して、心療内科へと足を運んだ。

『うつ病』と診断された。

彼は毎日、私の家に来て、なにも出来なくなった私に代わり、慣れない家事をして、夜は私を抱きしめて一緒に寝てくれた。
仕事は休職をした。仕事もできず、家事もできない自分が情けなかった。

8/14/2023, 8:20:46 AM