海へ
燦々と太陽が煌めく中、小さな電車は駅に辿り着いた。
緑と黄色のレトロなそれは短い3両編成でやって来た。常のことなのか、駅の長さもそのくらいしかない。
ドアが開き乗り込む。中もなかなか趣のある作りである。今時のレトロさが好きな方達に受けそうだ。進行方向に向かって左側に座る。窓が見える向きの椅子である。
今も昔も変わらずそこにあっただろう電車はゆっくりと走り出した。
街中を走るそれは線路を走っているのだが、思ったよりも家々に近い。路面電車の方が道路の幅の分遠く感じる。それくらい、触れられそうなほど家の近くを電車が走る。
しばらくそのように走っていたが、急に視界が開けた。ぱぁっと明るくなり、キラキラとした光が飛び込んできた。
海だ。
住宅街を抜け、一面の海、その横を走っていく。
そうして止まった駅で降りることにした。
木の柱と屋根で出来た駅舎が迎えてくれた。潮風に負けないための作りなのかもしれない。
んー、と伸びをした。早く出て来たから時間はたっぷりある。駅を出て海へ行こうか。浮かれながら改札を通り抜けた。
8/23/2024, 1:50:43 PM