「流れ星って見たことある?」
二人でベランダに立っていると彼女が空を見上げながらそんなことを言ってきた。俺はぷかりと口から煙を吐いて、その煙は彼女が見ている真っ黒な空に吸い込まれていった。
「ねぇなぁ。空なんて気にしたことねぇや」
そう言ってまた肺に煙を吸い込む。彼女はそんな様子の俺を見ながらにこりと笑った。
「いつか二人で見ようね」
流れ星にではなく俺にそう願う彼女。俺を見て笑う彼女に、たまには空を見上げてもいいかもしれないなんて柄にもなくそう思った。
4/25/2023, 11:52:36 AM