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 初夏の黄昏時の空は清流を溶かしこんだか如くに薄青く遠く、おそろしく透き通っている。草木も人も建物もすべてが確固とした境目を失い、輪郭をあいまいに解けさせて視界の中でも混ざってゆく。
 すべてが宵闇にしずむ手前のわずかな薄青い世界の端に、紫陽花が咲いていた。あの空、この空気、それらすべてよりもいっそうまばゆいほどに透徹し、同時に気高く濃く香る薄青さ。匂い立つ水色。あいまいな景色において際立つその精妙な花弁。

6/14/2023, 10:03:46 PM