【鐘の音】 短編②
広場の鐘の音が12時を告げた時、
僕は嬉しくて、悲しくて、
一人でベンチにうずくまっていた。
だって、大切な人が、僕だけの憧れの人が、手の届かない遠くに行ってしまうんだもの。
優しくて、向日葵みたいな笑顔が大好きだった。
「–––––––!!こんなところにいたのね。見つけた。」
そう言って走り寄ってきた彼女は、雲を集めたような、真っ白なワンピースが良く似合っていた。
隣に並んで座った彼女に身を寄せる。
「どうしたの?」
そう微笑む彼女は本当に綺麗になった。
最初に会った時から、素敵だったけど。
でもこれからあの人の隣で、もっともっと綺麗になっていくんだろう。
「二人の結婚式の鐘が鳴る日は、晴れるといいなって。」
嬉しそうにする彼女に。まだ幼い僕から、感謝と少しの後悔を込めて。
今、幸せですか –––––––––
8/6/2022, 9:56:52 AM