むにゃ子

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「おい、起きろ」
「んん…?」
「交代だ」
「あ、ロイ、見張りありがとう…」
「俺は寝る。明日も狩りだからな」
まだ少し眠い。そういえば今日はライラと一緒だったんだ。焚き火の前に座っている。
「ミリア、起きたのね」
「うん。大丈夫?」
「今のところ何もないわ」
わたしたちは6人で旅をしている。仲間といるのは楽しいけど大変なことも少しだけあって、そのひとつが野営だ。毎日宿に泊まれるわけではない。野営のときは二人一組で、火のそばで見張りをするのだ。
「ねえライラ」
「なに?」
「あのね、今日ルークがダジャレ言ってたとき、シオンたちはくだらないって言ってたけどわたしはちょっと笑っちゃった」
「あはは!実は私もよ。あの3人のツボには入らなかったみたいだけどねえ」
暗い森の中、この火のそばだけは明るくてライラの顔がよく見える。わたしが大好きな笑顔。一緒に見張りをするとき、ライラはいつもわたしの話をニコニコしながら聞いてくれる。リヒトは空を指さして星座の名前や神話を教えてくれるし、ロイは黙って弓の手入れをしているけど、わたしが寒そうにしてたら何も言わないで薪をくべてくれる。シオンの故郷のことを聞いたり、ルークと一緒に明日は何を食べるか考えたりする時間も大好き。みんなすごく優しい。わたしが一番年下なんだけど、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな。そんなことを考えるころには、東の空が白みはじめていた。朝焼けを見ることができるのは、この時間帯に見張りをする人の特権だ。

10/29/2023, 2:11:42 AM