「別れ」
いつからだったか。
私と彼の間に亀裂が入ったのは。
覚えてなんていない。
気づいたら、そうなっていたのだから。
付き合い始めた頃は別れるだなんて思ってもいなかった。
ずっと、この人と一緒に生きていくんだろうと心の中で思っていた。
でも、そんなことは無かった。
デートの時はいつも服とか髪とか褒めてくれたり、
車道側を歩いてくれたり、
帰りが遅くなると家まで送ってくれたりしてくれた。
学校生活では登下校は一緒に、
移動教室の時も一緒、
選択科目も一緒のやつを選んだ。
いつでも、どこでも、私に優しくしてくれた。
それを私も彼にしていた。
違和感を感じていたのはいつだったか、
それすらも覚えていない。
でも、私も彼も、
どこかしらのタイミングで違和感を感じていたのは分かる。
デートの時に服や髪を褒めてくれることはなくなり、
移動教室は別々で行くことが多くなり、
一緒にいても楽しいと感じることが少なくなってきた。
『ねえ、別れよう』
彼の口から一言。
「うん、私もそう思ってた。」
私の口から一言。
こうして、私たちは別れた。
さようなら、恋人。
どうかお元気で。
テーマ:すれ違い
※創作
10/20/2024, 8:02:53 AM