七紫

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太陽の下で日向ぼっこ。
屋上の扉がきぃ…と開いたので、体を起こしてそちらを見てみると、ひとりの女の子が立っていた。

「あら、先客かしら。」
「…は、初めまして、新屋真琴です。」
「ごきげんよう。新屋さん。」
「あ、あなたは、?」
「夜宵りこと申します。」

そうふわりと微笑むあなたを、少し強い風が襲う。ひゃあっと声を上げてスカートを抑えるあなた。綺麗にまとまった髪の束が風に揺られ、アニメみたいな上を向いてる絵のような写真が目に写った。実際はそんなことないのに。

「どうしたのかしら?」
「い、いえ、なんでも!」
「そう?隣、いいかしら。」
「あ、はい!どうぞ!」
「ありがとう…」

いい匂いする…やば…。


それから夜宵さんとたまに会うようになった。でも彼女は転校していき、会えなくなった。




でもある日、太陽がジリジリと照らす夏の暑い日のこと。
僕は太陽の温度が広々とした空間に広がることを読んで、ブランコを漕ぎながら公園を撮影していた時だった。

何も声が聞こえず、でも隣のぶらんこは揺れていた。誰かが座ったのだろう。

「新屋くん。」
「!、夜宵さん、?」
「夜宵りこです。」
「あ、新屋真琴です。」
「ここら辺、住んでるの?」
「あっはい!自然が多いので、充実してます!」
「そう…元気そうでよかった。」

そうカメラを向けようとレンズを動かした途端に、隣のブランコは、キィ、とだけ声を出した。今の夜宵さんの声は幻なのか?と思いつつも、シャッターを切った。



118テーマ【太陽の下で】

11/25/2023, 10:21:33 AM