Shizuku

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お題
『あなたがいたから』


「ねぇ、颯(はやて)今日ね、新しい友達が出来たの。」

「これも全部颯のおかげだよね……」


私はそういい、ふっ、と笑みを零した。






高2の春


私は陽キャでもなく陰キャでもない、誰1人話す人もいない。そんな毎日を送る能無しの人間だった。


高1では3人の友達。私含めて4人で仲良くしていたけれどその3人とは離れ離れになってしまい、元々コミ障なせいで、1ヶ月がたち5月になった今でも話した人はいない。


ある日、高1の時の友達の1人に会った。


「やっほ!麻里(まり)!」

「新しいクラスどう?」


「全然(笑)まだ仲良い人いないよ」

「そういう美奈(みな)は?」


「私?私も全然だよ笑笑」


「みなー?」


「あ、ごめん呼ばれてる!じゃあね!麻里」



「あ、うん」


なんだ、友達いるじゃん、‪”‬嘘つき‪”‬




『ねぇ、』


「ひゃっ!」

「誰……!」


いきなりすぎて変な声を出してしまった。


「す、すみません!私に何か用ですか?」


きっと、人違いをしただけだ。
私に話しかける人なんていないから…。
そう言って自分を落ち着かせる



『えぇっと、麻里ちゃんだよね?』


「へ?」


『あれ、違った?』


突然すぎた、私の名前を知ってる人がいるなんて

「あ、いえ、あってます。」


『あー、良かったw間違えるかとw』


「それで、えっと……」



『あー、ごめんごめんw本題言うの忘れてた。』

『麻里ちゃんってさ国語係だよね?』



「あ、、はい。」



『俺同じクラスの颯って言うんだけどさ、』

『そんなことはどうでもいいか、みんな待ってるんだけど』



「あ、ごめんなさい。」


やっぱそうだよね、そういう理由だよね……笑



勘違いしてバカみたい、

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



「み、皆さん、国語のノート提出してくださ…い。」


ガヤガヤガヤ


誰も見向きもしてくれない。


はや……誰だっけ。その人嘘ついた?

みんな待ってるって……

と、とにかくはやく集めなきゃ!



「ノート……出して……っくだ」


『みんなーノート出そー!』


「あ、っ……」


「え、颯ナイスすぎw」

「それな、w忘れてたww」


「え……?」


「麻里ちゃん、だっけ。ノートここ置いておくね」


「あ、はいっ!」


名前……覚えててくれてるの……?

仲良くできないって思ってたの私だけ?

というか…………


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


『ごめんっ!嘘ついて』



「いや、全然」

「むしろ教えてくれてありがとうございました。」



『……。ねぇ、麻里ってさなんで誰とも仲良くしないの?』

ドキンッ


「あ、えーっと、自分に自信が無いから…とか?」

自分のことなのに何故か疑問形になってしまう。


『え?自信?麻里は可愛いじゃん』



「ん……?」


『俺さ、実は去年から麻里のこと見ててずっと好きだったんだ。』

『突然でごめん。ずっと話しかけたかった。でも最後の日になっちゃって……』

「最後?」

『俺、心臓の病気でさ、明日から入院するんだ』

『今まで話しかけれなかった分今日話せてよかった。』

『また続きは来年話そ?バイバイ』





颯……くんは自分のことを早口に話してからそそくさと行ってしまった。


‪”‬来年‪”‬その言葉を信じて待っていたけれど颯が帰ってくることは無かった。


でもあの時颯が話しかけてこなかったら今の友達はいないだろう。


6/20/2023, 12:57:30 PM