Omothi

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「……ふふっ、好きだよ。」

微かな灯りに照らされた君は笑みを浮かべる。

僕は知っている。それが本物ではないということも、刹那的なものであるということも。
僕の肩に添えられたしなやかな手も、溢れる吐息も、僕のものだと信じていたい。

君は知っている。
自分に向けられる熱を帯びた僕の視線も、その奥に隠された不安定で黒い想いも。

君はいつもそう。
甘ったるい言葉を吐く唇とは裏腹に、君の瞳は目の前に居るはずの僕を捉えてはいないんだ。

「好きだよ。」
ほら、また言う。君はそうやっていつも。

「……僕も好きだよ。」
ほら、また言う。僕はその度にいつも。


〝暗がりの中で〟

10/28/2023, 10:42:13 AM