視線の先にあれほど大きく思えた背中が、存外華奢だったと思い知る。見せまいとしていたのは未練か、涙か。青春の多くを過ごしてきたこの部室を、彼女たちは一度も振り返らなかった。その背中を、見つめる。寄りかかれるものはもうない。明日からは私たちがあれをやるのだ。自分の足で歩かなければいけないと知った、15の夏だった。
7/19/2023, 10:59:19 PM