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香水

「香水つけてる?」
「うん」
「ドルガパ?」
「男ってみんなそれ言うよね」
「主語がデカすぎる」
香水を鼻歌で歌う君。冷蔵庫からウイスキーを取り出すその横顔はキザな男そのままなのに、その実君は香水を知らない。
「何年前だっけ、それ」
「えー、そっか。もう年単位で前なわけだ。そりゃ歳もとるよねー」
「おばさんって?」
「違うから笑」
そのまま彼は私の横に腰を下ろす。広いソファーベッドと無駄に大きいテレビが、部屋の中に鎮座している。
「結局その香水なんなの」
「LANVINの、MY SIN」
「ふーん」
「聞いといて興味なさすぎる」
リモコンを手に取る君に、香水をワンプッシュ吹きかける。
「あげる」
「……ねーさ、人は同じ匂いの人に性欲抱かないんやって」
「へー、試してみる?」
トン、と肩を押されてソファーにもたれかかる。君の吐息を近くに感じて目を瞑った。
「香水かけた意味なかったじゃん」
「きみのせいだよ」

8/30/2023, 4:19:42 PM