「あなたは私にとって、酸素のような存在です!」
私は放課後の屋上で、霧岡くんに告白をしていた。
霧岡くんは口を開け、ぽかんとした表情をしている。
もうちょっと普通の告白の言い方があったかも……
焦りながらも私は言葉を紡いでいく。
「酸素はいつも身近にあり、なくては生きていけない存在ですよね? 霧岡くん、あなたも一緒です!」
私は一生懸命に言う。
「なので、付き合ってください!」
目をぎゅっと瞑りながら、右手を前に出す。
「ふふふっ、もちろん」
え? 成功したよね?
私は嬉しさのあまり、口元がにやけてしまう。
だが、少し疑問が浮かんできた。
「なんで少し笑ってたんですか?」
「鈴森さんっぽいな、と思って。まあ、そういうところが好きなんだけど」
「そういうことですか……」
ん? 今、好きって聞こえたような……
「好きだよ。ずーっと前から」
私は顔が赤くなってしまう。
まるで赤く熟したリンゴのように。
お題【酸素】
5/14/2025, 4:28:26 PM