塵芥 椎歌

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あの子は裸のお仕事で
アイツは毎日シャンパンで吐いていて
何故かドヤ顔で
あの人は「仕方がない」と悲しそうに呟いて
でも強くて
奴は人生の大半イライラしていて
正義だと褒め称えられていて
あいつはギャンブル負けても笑ってて
勝ったとまたギャンブルにお金を使ってて
あの子は痣が絶えないまんま怯えて千円を隠してて
1週間後クビになって
そいつは満喫で泣いていて
そのウチ居心地が良くなって
あの人はドレスの女の子の元へ毎日通って
家庭の事は放ったらかし
その奥さんはお薬に夢中で
子どもが泣いているからと怒っていて
青年は髪が薄くなるが財布と預金は増え続けて
子どもを食い物にしていて
あのお医者さんはポルシェに乗って笑ってて
あの子の裸の病気を見る為に高いお金を取っていて
何万人か何億人かの知らない人が
SNSで沢山文字と写真を投稿してて
何万人か何億人かの知らない人が
自ら命を辞めていて
電車の中ではみんなスマホを見ていて
私はウンザリだと下を向く

ふと、顔を上げると
極稀に
本を読んでいる知らない人が居る
妊婦さんに席を譲ってる人が居る

いつか良く見た当たり前の
光景が珍しくなっていて
私の時間軸がおかしいのかと錯誤する

然し極稀なそんな当たり前を
続けている人を見ると安心感と共に
やはり私の時間軸は正しいんだと引き戻される


誰もがみんな馬鹿馬鹿しい事に夢中で
誰もがみんな何かに酔っ払って生きてるんだ

その美酒が無いときっと生きれないんだ
皆も私も


「性」と言う毒にも薬にもなるお酒らしい


そうじゃなきゃ可笑しすぎる
笑劇でもあるまい 世の中と
冬の痛さに嘲笑です

自分が一番可笑しいと
私が一番酔っ払ってると
布団の中大笑いする


サイレンがまた鳴っている


美酒瓶の破片で怪我でもしたのかなと
眠りにつく






題 誰もがみんな
著 塵芥 椎名

2/11/2024, 12:54:13 AM