窓から見える景色
目をあげると
通りに面したラウンジから見える
窓ガラスの向こうは広い舗道になっていた
西向きなのに
天井まである大きな窓のせいでとても明るかった
目の前は建設現場だった
よく見るとあちらこちらで建築作業が行われていた
ここは病院通り
大きな病院や薬局が建ち並んでいる
これからまだ病院が増えるようだ
なにか釈然としない思いがする
病人を作っては金を吸い込んでゆく
そしてその金はより豊かな者にのみ還元されてゆくのだった
病人を作り搾取する経済が出来あがっているのだった
富める者がより豊かに
貧しき者はより貧しく
病める日も
貧しき日も
人の欲の分だけ
まるでネズミ講のように物は増え続けるのだった
健やかなる日も
富める日も
人の欲の分だけ
その富の中で幸せに生きる者は増え続けるのだった
それがこの国の幸せの形なら
名も無き者の詩う歌など誰の耳に届くのだろうか
病院の窓から見える景色は
今日も青い空に覆われていて
希望が胸をナイフのように切り裂くのだ
9/26/2024, 1:44:01 AM