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星空の下を、ゆったりと歩いた。
満天の星空、雲ひとつない。澄んだ空気。昼間は暖かくなってきたとはいえ、夜の空気はまだまだ少し、冷たかった。
「上着を持ってきたらよかったね」
誰ともなしに呟く。吐く息が白いような気がして、はあと吐き出してみた。だけども当然そんなわけはなくて。夜空を見上げて星座を探す。たくさんの星々を結びつけて、熊とか、犬とか、白鳥とか。そんなお絵描きを楽しんだ人間が、遠い昔にいたんだね。遠い昔に生きた誰かも同じ空を見上げていただなんて、考えてみれば、すごく不思議な気分になった。
「今日も明日も明後日も」
毎日は続いていくわけで。遠い未来の誰かも、同じ星空を見上げるのだろうな。空に誰かが書いたお絵描き。メッセージ。
星空って、素敵なものだね。

4/5/2024, 12:50:38 PM