誰かのためになるならば
ツチガエルは全身にごつごつとした縦長のイボがあるカエルで、イボガエルと呼ばれることもあります。捕まえると青臭いいなや臭いを出します。指には吸盤はなく、先端がいくぶん細くなっています。後足の指の間に発達した水かきを持ちます。
水辺からあまり離れることなく暮らしています。比較的きれいでしかも少し流れのある水辺を好む傾向にあり、そういう場所が減りつつある関東の都市部では急速に姿を消しつつあります。
体長は、雄で30mm~40mm、雌で35mm~50mm程度。体色はまさに土色ですが、背中の中央に背中線と呼ばれる白く細い線がある個体もいます。お腹にはまだら模様があります。
ツチガエルの王国に一匹の宣教師をなのるニホンアマガエルやってきました。
ニホンアマガエルは 体長は2~4.5cm程度と小型。 全ての指先に丸い吸盤があり、この吸盤で枝から枝へ飛び移ったり、ガラスの垂直面に張り付いたりすることができます。
ツチガエルたちには、自分たちにはない、小さくてツルツルした鮮やかな緑色の肌や指先の吸盤がとても神秘的に見えました。
それでそのアマガエルの話しも神秘的に聞こえました。そのアマガエルは神の言葉を聞けばツチガエルたちのコンプレックスであるイボを無くし、指先に吸盤を与え自信を持てるであろうと言いました。
アマガエルは言いました。
まず神を愛しなさい。そして他のカエルを自分自身のように愛しなさい。
他のカエルためになるならば、自分よりも他のカエルを優先しなけりばなりません。そうすれば願いは叶います。
それを聞いたツチガエルたちは、互いにを自分よりも優先しました。ツチガエルたちは相手のカエルを自分よりも大切にしました。それでもイボも消えず、指先に吸盤も付きません。ツチガエルたちはがっかりして落ち込んでいました。
それを見たアマガエルは激怒しました。それでこう言いました。
「あなたたちは信仰がたりません。もっと他のカエルを愛さなければなりません。例えば他のカエルにマッサージしてあげるとかです。」そういうとツチガエルたちにアマガエルは自分自身をマッサージをさせました。
月日は過ぎ、何年も経ちました。
ツチガエルたちは日に日に衰えてゆきました。特に熱心に教えを守ったツチガエルの姿をあまり見られなくなりましたツチガエルの王国に見られるのは、ほとんどがアマガエルばかりになってしまいました。
そんなツチガエルの王国を見かねた、トノサマガエルの王国さまが直々にツチガエルの王国にやってきました。そして言いました。
「ツチガエルの皆さん、よく聞いてください。皆さんはよく頑張ってきました。それでもアマガエルに惑わされています。他のカエルを自分自身のように愛さなければなりませんが、そのためには自分自身を適切に愛せなけりばなりません。ツチガエルの皆さんにはイボから嫌なニオイを出して敵から身を守るという、相手を傷つけない優しさがある。しかし、アマガエルの皮膚には毒がある。それもそれほど強い毒ではない。だからツチガエルたちはマッサージをさせてジワシワと相ツチガエルたちを弱らせたのです。皆さんには指先に吸盤はないが、優られた水かきがある。」
「神の言葉はこうです。
一人一人,自分の行いについてよく考えましょう。そうすれば,人と比べて喜ぶのではなく,自分自身のことを喜べます。」
「どうかツチガエルの皆さん自分自身を大切にして、自分自身を大切にするように他のカエルのことも大切にしましょう。誰かのためになるならば、自分自身をも犠牲にするのとは、自分がしてほしいように、他のカエルにもすると言うことです。例えば、プレゼントをする時、自分は甘いものが好きで、もらったらうれしいけれど、甘いものが苦手な相手には相手が好きなものをあげるなどです。」
そういうとトノサマガエルの王様は自分の王国へかえって行きました。
7/27/2024, 3:46:42 AM