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僕は才能に嫉妬した。
そして、その才能を馬鹿にした。
小学生の時、舞台を見に行った。
わざわざ足を運ばずとも、テレビで見ればいいだろと乗り気じゃなかった。
舞台が始まると、飛び込んでくる世界観に圧倒された。
自分が舞台の一員であるような感覚。
鬼気迫る表情と声色、柔らかく花が散るような優雅さ、
そして観客の熱気。
気づけば僕の目は釘付けになっていた。
それから早5年高校生になった俺は、普通の高校生活を送っていた。
用意して学校に行って飯を食って、帰るそれだけの日々。
退屈なのは言うまでもない。
そしてある日、お前と出会った。
「風見 奏です。」
そう挨拶したのは先日芸能界を引退するとネットニュースになっていた。子役生まれの俳優だった。
女子だけでなく男子も興味津々に話を聞こうと列をなしていた。
風見は、薄ら寒い笑みを貼り付けながら対応をしていた。
「早瀬!今日お前日直やろ?風見くんのこと案内したってや」
「なんで、、」
「部活も入っとらんし、どうせ暇しとるやろ、」
「はー、、」
結局断りきれず引き受けてしまった。く
早く帰りたいのに。
「早瀬くんって言ったかな?よろしくね」
風見はまた薄ら寒い微笑みを浮かべる。
「、、下手くそ」
「へー、やっぱり分かる人には分かっちゃうもんなんだね」
突然の暴言に怒る様子もなく風見は淡白に答えた。
「大抵の人は騙されてくれるんだけど、もしかして早瀬ってなんかかじってた?」
「、、、なんも」
「なんもかー、、、ねぇ、ちょっと付き合ってよ」
「は?」
俺は風見に引かれ気づけば屋上に来ていた。
3/16/2026, 8:14:21 AM