七紫

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僕は今日、神社巡りに行った。
何かご縁がありますようにと、願って。
そして最後の神社、「叶葉神社」に着いた。
この場所は、僕の大好きなじいちゃんが毎日通っていた神社。
この長い長い階段を毎朝毎夕登って、お参りする。
死ぬまでずっとずっと続けてて、じいちゃんは昼寝中にパッタリと逝ってしまった。
そんな昔話を思い出しながら歩いていたら、いつの間にか階段を登りきっていた。
「そんな大したことないな」くらいにしか思っていなかったんだけど、そのあとが凄かった。

前を見ると木々が茂っていて、微かに川の音もする。
「そんな自然な場所だっただ、ここは」と、20年越しに感じる。
神社の前では巫女さんが落ち葉掃除をしていた。
「お参りですか?」と聞かれたので、「はい。神社巡りをしています。」と答えた。
その後に放たれた言葉は…

《ここ、昔は神様が降りてくる場所だったんです。でも、あの日を境にパッタリと降りて来られなくなってしまって…。》

「あの日?」
「はい。19年前の11月2日です。」
(その日は…じいちゃんが死んだ次の日…)
「毎朝毎夕散歩に来られるおじいさんが居たんですけど、その方がたまに神様とお話をされていたんです。」
「じいちゃんだ…。」

じいちゃんは言っていた。
《神様と話そうとすれば話せるよ》と。
だからここに来ていたのかな…。

「僕だったら話せるかも…。」
「え?」
「多分ですけど、そのおじいさんの名前、加野栄三じゃなかったですか?」

僕がそうはなった瞬間、ゴォーと音を立て強い風が僕らを襲った。
少し戸惑った様子の巫女さんが
「え…少し確認してきます。」


少し経って巫女さんが帰ってきた。
そして思っていた通りの答えが返ってきた。
僕は巫女さんに礼を言って、神殿に向けて歩いた。

「どうやって話せばいいんだろう…。」
〔お主、栄三の孫かの?〕
「えっと…お爺さんは…。」
〔栄三の友達じゃよ。〕
「お友達さん、!!お名前は、?」
〔んーとなぁ、教えん方が身のためじゃよ。〕
「あ、そうなんですね。分かりました!」
「僕の名前は、」
〔知っておるよ。栄三から聞いておった。栄三はお主のことが好きじゃったよ。可愛くてしゃーないとか、言うておったわい。〕
「じいちゃんが…?」
〔お主のためのお守りがあるんじゃが、どうかの?一つ貰ってくれんかの。〕
「では、お言葉に甘えて、。」
〔そうかい!じゃ、後ろ向いておってくれ。〕
「はい!」

くすぐったく感じた首には、模様のようなものが刻まれていた。
そして触れようとした瞬間、さらさらっと消えてしまった。

「え、これ、消え…」
〔普通じゃよ。これで大丈夫じゃ。お主の安全はこれで守られるぞ。〕
〔それじゃあな。〕



帰り道、巫女さんに首のことについて聞かれた。
巫女さんには見えているらしい。
だけど、僕には何も見えない。
カメラにも鏡にも映らないし、裸眼では絶対見られないし…。

「ほんとに…加野さんの…お孫さん…。」
〔栄三、お前の孫は良い奴じゃの。〕




89テーマ
【神様が舞い降りてきて、こう言った。】


趣旨ズレちゃいました…笑

7/27/2023, 12:15:23 PM