11時。
朝でもない、昼でもない。
ちょっと置いてきぼりにされたような
この時間が好きだ。
カランコロンカラン。
昔からある喫茶店。
マスターがにこっと笑って、
「ご注文はコーヒー牛乳?」
「もう子どもじゃないってばー。
マスターのおいしいコーヒーください。」
私も笑って答える。
初めて一人で来た時はまだ中学生だった。
大人になった気分で背伸びしてコーヒーを頼んだ。
そんな私にマスターは生意気だと諌める事もなく、
温めたミルクと砂糖たっぷりの
コーヒー牛乳を出してくれた。
おいしくて温かくて、ここに居ていいよって言われたような気がした。
あれから何年だろう。
この居心地のいい喫茶店で
私はまた11時を過ごしている。
-始まりはいつも-
10/20/2022, 1:21:23 PM