ついに空が泣き出した。
しとしとと地面に模様を描いたかと思えばあっという間にあたり一面を染め上げる。予定を切り上げ帰ってきたのは正解だったようだ。さて外ばかり眺めていられない。
ベットに出来上がった小さな山を一撫してからゆっくりとタオルケットをめくりあげる。
「……泣いてない」
「そうだね。泣いてるのは空であってソラじゃないね」
ソラの起こした洪水を受け止めすっかりへたったタオル。それでも解放することなく顔に押し当てている。
「……コロが来たのも雨の日だったね」
「…………」
「もしかしてこの雨もコロが呼んだのかな」
するとのそのそとタオルケットから顔を出したソラ。
「ムツからお花の香りがする……」
すん。そう鼻を寄せる。時折鼻を啜る音が聞こえティッシュを手渡せばオズオズとそれを受け取る。
「うん、一番綺麗なの買ってきたよ……」
9/16/2023, 3:01:49 PM