この道の先に爽やかな風が吹いた。街の匂いが遠のき、代わりに緑の匂いが体を包む。舗装されていない道は、しかし踏み固められていて、はっきりと行く末を示す。森へ分け入っていく先は霞んで見えないが、胸を高鳴らせるには充分だった。リュックを背負い直す。腰の剣を左手で確かめて、最後に一度だけ街を振り返った。「いってきます」この先どうなるかはわからないし、何ができるかもわからないけど。一歩を踏み出す。さあ、冒険の始まりだ。
7/4/2023, 2:24:31 AM