25

Open App

※昨日の書けなかったお題と合わせて。


私は走っている。無我夢中で、ただ必死に走っている。
背後から私を包み込むように襲いかかる何か。
その何かから逃げるように必死に走り続けた。
だがとうに限界がきていた私の体は、膝から崩れるようにそのまま地面へと倒れ込む。

「ごめん」
そう弱々しく言葉にした彼の姿が脳裏に浮かび、ひとすじの涙が頬を伝う。
忘れたくて何も考えたくないのに、それが叶わない。
そして本当は何かの正体に気付いている。
気付いているがただ気付かないフリをしたいだけだ。
病に倒れ先立った彼を、
救ってあげることもその事実を受け入れてあげることも、今も何も出来ない自分から逃げている。

私の方こそ「ごめんね」
この突きつけられた現実を受け入れる覚悟が出来るまでもう少しだけ
お願い、このまま逃げさせて。


『「ごめんね」』#4
『ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。』#5

5/31/2023, 9:28:46 AM