「世界に1つだけ」
小さい頃、おばぁちゃんの家にはアクセサリーが沢山あった。
中でも、おばぁちゃんが毎日付けていた指輪はいつもキラキラと
輝いていた。
おばぁちゃんは、いつもこの指輪は先祖代々受け継がれてる指輪だと
教えてくれた。
20歳になったらあげるね。おばぁちゃんにそう言われた時
私は凄く嬉しかった。
約束だよ...そう言っておばぁちゃんと手を繋いで、家に帰る。
中学生になった私は、反抗期の真っ最中だったこともあって中々おばぁちゃんに会うことなく会っても昔のように話すことが無くなった。
そんな日が続く中、ある日突然おばぁちゃんが病院に搬送され
脳梗塞だと診断された。
救急車に運ばれていくおばぁちゃんの姿を見て唖然とした。
その後も、おばぁちゃんが目を覚ました時 いつものおばぁちゃんではなく 目の視点もあわず ぼーっとしていた。
知ってるおばぁちゃんじゃないことに凄く怖かった。入院中も
たまに顔を出すものの、毎日お見舞いには行かなかった。
そして、おばぁちゃんが亡くなった。あれだけたくさんのことを
教えてくれたおばぁちゃん。私は話さなくなったこと お見舞いに
ちゃんと行かなかったことに後悔し 号泣した。
お葬式が終わりおばぁちゃんの家を片付けていた時、おばぁちゃんが
大事にしていた指輪を見つけた。それと同時におばぁちゃんからの
手紙があった。
「ずっと大事にしてね」おばぁちゃんの優しい文字が私の胸を
熱くさせる。
「ごめんね」私は泣きながら指輪をはめた。
19になった今もおばぁちゃんの指輪を欠かさず付けている。
これは私にとって、世界に1つだけの指輪だ。
9/9/2022, 10:48:40 AM