Shio

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ストン、というか。トス、というか。

簡単に恋して適当に相槌打って、なんとなく " そういう " ムードになったからやって別れて。
薄めの金髪と黒いリングのピアス。ネックレスと指輪でキメた俺は見るからにチャラ男の分類で。そんな俺に寄ってくる女も軽そうな奴で。体だけの関係の奴だって数えきれないぐらい居たし別れるまでの最速記録は3時間の人だって居る。でもそれが俺で、土に還るまでそーゆー人生かなと思って生きてきた。それが人生なら最後まで全うしてやろうじゃねぇかと乗り気にもなった。
でも、そんな人生の俺に転機があらわれた。

( うわ、..かわぃ.. )

オシャレなカフェの中で友達と笑っている女の子。きっと高校生だろう、制服を着ている。クスクスと本気で笑ってんのか分からない笑い方をする子で、友達と話すのは少し窮屈そうだ。まぁ、初対面の俺が言えることでは無いけど。
友達を待っている、というていで街灯に寄りかかってチラリと女の子を見る。パスタと..抹茶の飲み物を飲んでいるようだ。遠くてあまり見えない。

( あ、立った )

友達がトイレに行ったらしい。女の子はひらひらと手を振って見送っていた。

スっ

「!!」

前を見た途端無くなるハイライト。力を失った頬は唇が真横に引き伸ばされている。ちょっと下がっているかもしれないが。
黙々とパスタを口に入れていく。結構大口だ。作法も特段いいという訳では無い。なのに、只只可愛くて…美しい。

俺の心臓は今までに無いくらい動いていて、鼓動の音が耳から聞こえているようで、え、心臓って体内にあるよね、と再認識が必要になるくらい鼓膜に響いていた。

ペロ、と唇を舐める仕草も、ナプキンで拭う仕草も、飲み物を飲んでちょっとボーとしてまた吸い始めるのも

なんだか全てが愛おしい。

あぁ、だめだな

「連絡先、消さないと..」

9/12/2023, 1:11:43 PM